【#01】時間を織り込む──SUBCULTUREが選んだ、一本のデニムの話
ある一本の、記憶から始めた
SUBCULTURE原宿店のオープンを記念して製作した、100本限定の加工デニム。
このモデルには、ただのデザインや仕様以上に、「一本の記憶」が込められています。
そのきっかけは、ディレクター瀬尾がかつて穿き込んだ、リーバイスの通称“66前期モデル”。



リジッドの状態から自ら糊付けを施し、1年6か月間、ほぼ毎日穿き続けた一本です。
洗濯は、最初の糊落としと、1年6か月後に一度だけ。
それ以外は一切洗わず、バイクに乗り、仕事をし、街を歩き、擦れや汗や時間を刻み込んでいった。
ヒゲ、膝裏のハチノス、擦れたヒップポケット──
そのどれもが、偶然と必然のあいだで生まれたリアルな「跡」でした。
バイクとデニムと、振動の痕跡
穿き込みの期間中、瀬尾は1950年代のリジッドフレームのハーレーダビッドソンのチョッパーに乗っていました。



当然セルなど付いていないバイクで、エンジンをかけるには毎回キックペダルを蹴り込む必要がある。
そのとき、自然と膝をシートに乗せる姿勢になり、
信号待ちの際には、ペダルの先端がデニムの膝裏にかすかに触れて擦れていく。
リペアは“感覚”で預けた
穿き続ける中でダメージの入った膝やヒップのリペアは、ビンテージのお直しを専門に手がける「YMファクトリー」の三浦氏に依頼しました。
三浦氏の手仕事には、古着を知り尽くした人間だけが持つ“抜け感”がある。完璧すぎない針運び、わずかなズレ、そして補強としての実用性。その絶妙なバランスにこそリアリティが宿る。
今回の加工デニムを作る際も、三浦氏のリペア痕にある“間”や“緩さ”が、職人たちとの共有基準になりました。 「再現する」のではなく、「写し取る」。 その感覚を理解できる人たちと作れたことが、なにより大きかった。

三浦氏の手仕事には、ヴィンテージデニムを知り尽くした人間だけが持つ“抜け感”がある。
なぜ、いま「力織機」なのか
このデニムの生地は、**旧式のシャトル織機(力織機)**で織られています。
いまでは全国でも数えるほどしか残っていない織機で、1日に織れる量はわずか40〜50メートル程度。
「言葉では伝えきれない」から、足を運んだ
今回の訪問には、もう一つ大きな理由がありました。



それは、どうしても再現したい“加工の一点”──
キックペダルがデニムの膝裏に擦れていった跡を、職人に直接、感覚ごと伝えたかったということ。
一本の中に詰め込んだもの
このデニムには、瀬尾の1年6か月分の時間とバイクと習慣、
そしてそれを読み取り、かたちにしてくれた職人たちの手の跡が詰まっています。
ITEM INFO



• SUBCULTURE ORIGINAL "66" 加工セルヴィッジデニム
• サイズ展開:30 / 32 / 34 /
• 限定数:100本シリアルナンバー入り(TOKYO店頭限定販売)