#20【現場】兵庫県・西脇。糸を染めるということ。
綿織物生地、そして先染めの主要産地として知られる兵庫県西脇市。
播州織の産地でもあるこの場所には、糸を染め、生地を作り続けてきた現場があります。
今回は、SUBCULTUREオリジナル生地に使用する糸の染色工程を確認するため、その西脇の現場へ足を運びました。
生地を作ると言っても、ただ色を選び、織り上げるだけではありません。
どの糸を使うのか。
どの色に染めるのか。
どの濃度で染めるのか。
どの時間をかけて、どの表情に仕上げるのか。
その一つひとつの積み重ねが、最終的な生地の空気感を決めていきます。
今回訪れた現場には、染料が入ったビーカー、試験染めされた糸、そして大きな染色釜が並んでいました。
小さなビーカーで色を確認し、何度も調整を重ねる。
赤、黄、黒、ネイビー。
一見するとただの色に見えるものも、実際にはほんの少しの配合や時間の違いで、まったく違う表情になります。
色を作るという作業は、単に指定した色番号に合わせるだけではありません。
完成した生地になったとき。
洗いをかけたとき。
着込んでいったとき。
光に当たったとき。
その先の見え方まで想像しながら、糸の色を決めていきます。
特に、オリジナルのチェック生地やオンブレ生地では、この“糸の段階での色作り”が非常に重要です。

プリントで上から色を乗せるのではなく、糸そのものを染め、その糸を組み合わせて柄を作る。
だからこそ、表面だけではない奥行きが生まれる。
色と色が交差したときの見え方。
柄として組み上がったときの空気感。
そして、着込んだ先に出てくる色の抜け方。
それらはすべて、この糸染めの段階から始まっています。
現場では、白い糸が大きな釜に入り、時間をかけて染められていきます。

機械の中で糸が回り、染料が浸透し、少しずつ色を含んでいく。
染め上がった糸は、ただ綺麗なだけではありません。

どこか深さがあり、わずかな揺らぎがあり、均一すぎない表情がある。
それはムラではなく、現場で作られたものだからこそ生まれる“味”のようなものだと思います。
この感覚は、写真やデータだけでは判断できません。
画面上で色を見ても、実際の糸の質感や、染まり方の奥行きまでは分からない。
だからこそ、現場に立つことが大切だと改めて感じます。
糸を見る。
色を見る。
機械の動きを見る。
職人の手元を見る。
そのすべてが、生地作りの判断材料になります。
SUBCULTUREが作りたいのは、ただ新しい服ではありません。
古いものに敬意を持ちながら、今の自分たちが納得できる質感に落とし込んだ服です。
そのためには、完成した生地だけを見るのではなく、糸が染まる前の段階まで遡る必要があります。
効率だけを考えれば、既存の生地を選ぶこともできます。
すでに完成している生地の中から、近いものを選ぶこともできます。
でも、それでは出せない色があります。
それでは作れない空気感があります。
自分たちが本当に着たいと思える色。
着込んだ先まで想像できる生地。
時間が経ったときに、より良くなっていく服。
それを作るためには、やはり現場に足を運び、糸の段階から確認するしかありません。

兵庫県西脇市。
綿織物生地、先染めの主要産地として長く生地作りを支えてきたこの場所で、糸が染まり、生地になる前の重要な工程を見せてもらいました。
完成した服だけを見れば、ただのシャツかもしれない。
ただのチェック柄かもしれない。
ただの生地に見えるかもしれない。
でも、その一枚の中には、糸を染める人がいて、色を調整する人がいて、機械を動かす人がいて、何度も確認を重ねる時間があります。
目に見えにくい工程こそが、服の奥行きになる。
そして、その奥行きこそが、SUBCULTUREが大切にしている部分です。
今回の生地も、糸の段階からしっかり作り込んでいます。
色の出方、柄の見え方、着込んだ先の表情。
まだ完成前の段階ではありますが、現場で見た糸の色には、すでに仕上がりを想像させる力がありました。
服作りは、完成品だけでは語れません。
糸を染める。
糸を巻く。
生地にする。
そして、服になる。
その工程の一つひとつに、人の手と判断が入っています。
今回、西脇の現場で見たものは、まさにその始まりの部分でした。
完成までもう少し。
SUBCULTUREらしい、しっかりと奥行きのある生地になると思います。
ぜひ楽しみにしていてください。
